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医師国家試験はやっぱり難しい?大学別合格率の特徴と実態について

医師国家試験の合格率は大学によって非常に大きく異なり、受験生にとって医師国家試験合格率の高い大学に進学したいと思うのは当然のことでしょう。医師国家試験の合格率とその特徴や合格後の手続きについてご紹介いたします。

医師国家試験のスケジュールは?

まず、医師国家試験のスケジュールをしっかりと理解しておくことが非常に重要です。医師国家試験の受験までにはポリクリ・病院見学など様々な予定をクリアする必要があり、大学の卒業試験の対策もしなければいけません。また、医師国家試験の受験後には医籍登録や初期研修先への対応など様々な対応を行う必要があります。しっかりとスケジュールを確認しなければ、うまく国家試験対策の勉強も行うことができません。

医師国家試験は現在では2日間に渡って行われ、合計で400問の問題を解かなければいけません。一般的には2月の上旬〜中旬の土日を使って試験が行われ、大体2月の2週目前後に試験が行われるのが通例です。受験の会場は全国の12都道府県(北海道,宮城県,東京都,新潟県,愛知県,石川県,大阪府,広島県,香川県,福岡県,熊本県,沖縄県)で、複数の試験会場で一斉に試験が行われます。

医師国家試験の合格率の特徴

2019年に行われた第113回医師国家試験の合格率は新卒者9,176人の受験者に対して合格者が8,478人と、合格率自体は非常に高く、受験生全体で見ると受験者数10,146人に対して合格者は9,029人(89.0%)と、ほぼ9割の受験生が合格する試験であることが伺えます。

大学別の合格者数を見てみると実は特徴がいくつかあり、まず、既卒・新卒で大きく合格率が離れていることがどの大学でもよく見られています。例えば北海道大学では新卒の学生の合格率が96.2%であったのに対し、既卒の学生の合格率は45%にとどまっています。このような傾向は他の大学でも見て取れます。医学部を卒業した後で医師国家試験の勉強を続けることは何よりもモチベーションの維持が難しくなります。独力で勉強を続ける負担を考えると、新卒の段階でしっかりと合格することが重要です。大学から離れてしまうことで、医療情報を手にいれるのが難しくなってしまいます。そのため、新卒として合格できるように、各大学の医師国家試験の合格率を大学選択の一つの指標としましょう。

では次に、国立医学部と私立医学部においての合格率を比較してみましょう。国立医学部全体での合格率は90.2%、私立医学部全体の合格率は88.9%と全体の数値だけを見るとほとんど変わることがありません。しかし、私立医学部ではいくつかの大学が特筆して高い国家試験合格率を誇っていることが特徴としてあげられます。例えば自治医科大学では医師国家試験の合格率99.2%、順天堂大学では98.4%と非常に高い合格率を誇っています。95%以上の国家試験合格率を誇っている大学は他にも東京慈恵会医科大学や聖マリアンナ医科大学、杏林大学などがあり、国公立大学でも愛媛大学・札幌医科大学・横浜市立大学・浜松医科大学・筑波大学・東京医科歯科大学などが知られています。

私大の医学部では大学内で国家試験への対策を行う大学もあるので、ずば抜けて高い合格率を誇る大学もあり、合格率にばらつきが見られます。入学前に大学内で国家試験にたいしてどのような対策を行なっているのか調べておくと、非常に役立ちます。中には福岡大学のように70%大の国家試験合格率にとどまる大学もあるので、それぞれの大学の特徴をよく見極めるようにしましょう。国立大学ではずば抜けて国家試験の合格率が高い大学がある訳ではありませんが、最低でも81.6%の合格率があるので、極端に合格率が低い大学があるわけでもありません。大学受験の際に、ある程度の大学の傾向を見据えながら志望校を選んでいきましょう。

医師国家試験の勉強はどうするの?

医師国家試験の内容は臨床問題・一般問題・必修問題の3種があり、必修試験は絶対基準、臨床試験と一般試験は相対基準が設けられて合否判断が行われます。問題の配分は必修問題が100問、一般問題が100問、臨床問題が200問で、必修問題もさらに必修臨床問題と必修一般問題の2種類分類されています。問題分量も多く、出題される分野も多岐にわたっているので、6年間の勉強を振り返ってしっかりと対策を立てて臨む必要があります。

国家試験の勉強は大体大学の6年生になってから始める学生が一般的です。6年生になる頃には臨床実習(ポリクリ)も終了し、国家試験の勉強だけをする期間を確保することができます。国家試験対策には過去問題集や国家試験の内容に合わせて作成されているテキストを利用して勉強を進めるのが一般的で、専門的な医学書を利用して勉強するのは非常に効率が悪いと言われています。医学部の忙しいスケジュールの中、うまく情報を集めて効率の良い勉強を進める必要があるので、勉強を進める前に効果的な勉強のやり方と知識を身につけておくことが非常に重要なのです。

最近では勉強の効率を高めるために国試対策の予備校の人気が高まりつつあり、映像授業で行われる国家試験対策講座を利用して国試対策を行う学生も一般的になりつつあります。国家試験に合格するにはしっかりとした勉強が必要になります。あらかじめ国家試験の合格率の高い医学部をよく調べ、しっかりと受験校の選定に活かすようにしましょう。

合格後の手続きはどうするの?

国家試験に合格した後の手続きは意外と知られているものではありません。国家試験に合格した後は、医籍登録という手続きを行う必要があります。医籍というのは医師免許を得た者の氏名・本籍を記した帳簿のことで、厚生労働省で管理されます。医籍登録を行うのは合格発表の後になり、初期研修が行われる4月1日までの間に手続きを終えておく必要があります。医籍登録を終えなければ医療行為を行うことができないので、給与をもらうことができません。医師免許申請書・健康診断書・戸籍抄本など、いくつかの必要書類を揃えて郵送するだけなので、手続きはそれほど難しいものではありません。この手続きを終えた後にはいよいよ研修医として医療を実践する側として活躍していくのです。

まとめ

医師になるには様々なハードルを乗り越える必要があり、大学入試・各学年で行われる大学の試験・CBTやOSCEだけでなく最後の国家試験も非常に厄介なハードルです。医師になるにあたり様々なハードルはありますが、卒業し、医師免許を手に入れた暁には医師として一人でも多くの患者さんのために尽力することができます。大学を受験する際に、国家試験の合格率や、どのような研修先が自分に向いているのかといった卒業後まで視野に入れた大学選びを行うように心がけましょう。

 

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