医学部受験の基礎知識
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繰り上げ合格まで見据えた医学部受験!最適な戦略はどう立てる?

私大・国公立大を問わず受験生が気にするのが繰り上げ合格です。実際に医学部を受ける時には繰り上げ合格の割合を考えながら適切な受験校選びをすることは、受験戦略の1つです。受験生にとって合格を勝ち取る可能性を広げることにもなる繰り上げ合格と受験の戦略について詳しくご紹介いたします。

繰り上げ合格ってなに?

繰り上げ合格は欠員を補うもの

繰り上げ合格は一般に、入学希望者が入学定員を下回った場合に、その欠員を補うための制度で、私大の医学部だけでなく、国公立大学の医学部でも取り入れられている制度です。

医学部を設置している大学の中には、他の大学の併願先・滑り止め先になり、合格者の中から他の大学に入学してしまう学生が多数出てしまい、毎年数多くの補欠合格者を出す大学も存在します。繰り上げ合格の連絡は、合格発表の直後から入学式直前まで来ることもあるようですので、受験生のみなさんはまず受験予定の大学がどれくらい繰り上げ合格者を出すのか、これまでの情報を集めながらこの情報を参考に、受験校のひとつとして選ぶ大学を決めるのも戦略になります。

繰り上げ合格も合格と同じ

繰り上げ合格と聞くと多くの受験生は、正規合格と同等の扱いなのかと不安に思うかもしれませんが、このような不安を持つ必要はありません。大学に入ると繰り上げ合格も正規合格も同等の扱いを受けますし、繰り上げ合格だからといって実習や授業など大学生活で不利益を被ることはありません。また、奨学金の申請やカリキュラムの選択の自由など、合格の仕方によって差があるわけではありません。さらに、卒業後に医師として働く際になんらかのデメリットを被ることもないので、安心して入学することができます。

私立大学と国公立大学での医学部の繰り上げ合格

医学部受験で繰り上げ合格まで考慮するためには、私大・国公立別に繰り上げ合格の傾向と流れを把握する必要があります。まずそれぞれの傾向を把握し、繰り上げ合格についての基本をおさえるようにしましょう。

私大医学部は繰り上げが多い

私大医学部は一般的に繰り上げ合格が多くなる傾向があります。これは私大医学部が国公立大学の併願先、いわゆる滑り止めとして選ばれることが原因で、毎年かなりの数の繰り上げ合格者を輩出する大学があります。都心部にあり、6年間の学費が低い大学はこの傾向があるので、日本医科大学・東京慈恵会医科大学・順天堂大学を受験する時には特に繰り上げ合格の人数まで調べたうえで受験校選びの参考にしましょう。

国立大学は繰り上げ合格が少ない

国公立大学は私大医学部に比べ、繰り上げ合格はあまり多く出ません。国公立大学の中でも人気のある旧帝大は繰り上げ合格を期待することが難しいといえます。地方国公立大では繰り上げ合格が出る可能性もありますが、人数はあまり多くありません。国公立大学の繰り上げ合格を期待しながら受験するのはあまり現実的ではないでしょう。国公立大学を受験する際には、繰り上げ合格によるセカンドチャンスがほとんどないことを覚悟しておきましょう。

繰り上げ合格発表の流れ

繰り上げ合格は、合格発表後の入学手続きが終わった後に、順次合格者に連絡されます。入学の意思確認が行われ、希望者には入学書類が届くという流れが一般的です。大学により、対応が異なることがあるので、募集要項をよく確認しておきましょう。

繰り上げ合格を考慮した受験戦略とは

繰り上げ合格でもれっきとした合格には代わりありません。そのため、入試で合格点を取って繰り上げ合格に頼らずに受験を終えることが第一ですが、繰り上げ合格まで見据えた受験の戦略を立てておくといいでしょう。

倍率は繰り上げ合格まで見据えて考える

私大医学部と国公立大学を併願する受験生にとって、繰り上げ合格まで見据えることは、受験戦略の1つです。具体的には、私大医学部を受験する時に、まず各大学で発表されている私大医学部の正規合格の人数に加えて、繰り上げ合格の人数を加味した倍率を考えるといいでしょう。

具体例を挙げると、2019年の東京慈恵会医科大学では正規合格者が165名、繰り上げ合格者が143名とかなりの数の繰り上げ合格者を輩出しています。受験者の総数が1858名という点を鑑みても倍率が11.2倍(正規合格者のみの倍率)から6.1倍(正規合格連絡者のみの倍率)まで下がるので、繰り上げ合格まで見据えると合格しやすさが変わることがわかります。ただし、繰り上げ合格の数は毎年変動があるため、過去数年分の記録を確認しておくことが重要です。

繰り上げ合格まで考えると合格の可能性がある大学を幅広く選ぶことができます。過去数年間の繰り上げ合格の人数を見据えることは、受験戦略の1つです。

繰り上げ合格を検討に入れて受験校を絞る

繰り上げ合格を視野に入れて受験校を絞る時には、いくつか注意点があります。繰り上げ合格を数多く出す大学を受験する時には、その年の受験生の動向や、センター試験の問題傾向を分析しながら大学の選定を進める必要があります。

センター試験後に発表される大手予備校の動向だけでなく、医学部受験に特化した予備校のアドバイスを受けながら受験校を選ぶと、幅広い情報から合格の可能性を広げることができます。センター試験で算出された合格判定の結果だけでなく、併願先の私大に出願する受験生のレベルや、受験希望者内での順位も踏まえて考えるようにしましょう。

繰り上げ合格の注意点

繰り上げ合格の人数は年による

繰り上げ合格を検討しながら受験するのは、戦略の1つですが、過信しすぎるのは禁物です。繰り上げ合格の人数は年によって異なることを認識しておきましょう。特に都心部の私大医学部はセンター試験との兼ね合い、国公立大学の出願者数などによって、繰り上げ合格に数は大きく変わります。複数の情報を同時に見ながら受験すべき大学を選ぶようにしましょう。

繰り上がり合格者の数は、過去のデータを調べて手に入れることができますが、センター試験が極端に難化した年や極端に易化した年はデータの分析の信頼度が低下します。その年の動向をよく見ながら受験校を選ぶというスタンスは崩さず、繰り上がり合格の人数はあくまでも参考程度にとどめるようにしましょう。

繰り上げ合格でも入学金は必要

繰り上げ合格で気をつけておきたいのが入学金です。繰り上げ合格の連絡が来てから入学金の振込みまで期間が短い場合には手続きに余裕がなくなるので、あらかじめ入学金分の費用を確保しておく必要があります。また、繰り上げ合格した大学に入学するのか、浪人して翌年の受験に臨むのかは十分に検討して決めるようにしましょう。

まとめ

繰り上げ合格は、国公立大学よりも私大医学部受験生にとって身近な話題でしょう。受験戦略を考える際には、受験生指導に慣れ、特に医学部受験に特化した予備校のアドバイスを受けることがおすすめです。データを正しく捉え、現役合格できるように適切な情報収拾と分析を通して戦略を立てていきましょう。